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あの時を振り返って

今年も3月11日がやってきました。この日は、東日本大震災を思い出す特別な日です。あれから14年が経ちました。

2002年に開業した当院にとって、その年は10周年を迎える節目の年です。私はこれからの10年をどのように過ごしていくかをスタッフとよく話し合ってました。

震災当時、スタッフが不安を抱える中、私たちは手術を行っていなかったため、まずはスタッフのケアを優先しました。その後、藤岡では停電がなかったため、病院のテレビで情報を見ていました。ヘリコプターからの映像では、津波によって川が逆流し、犬や家が流される様子に衝撃を受けました。

私は若い頃に岩手県花巻市で動物病院の雇われ院長を務めていたため、岩手には多くの仲間や知り合いがいました。すぐに連絡を試みましたが、電話が繋がらず、とても心配したことを覚えています。繋がったのは3日後でしたが、彼らがどれほど寒かったかを思うと胸が痛みます。

何もできない自分に対して無力感を感じたことを今でも思い出します。現場には行くなという指示や様々な憶測が飛び交う中、内陸の花巻は無事とのことで、数週間後にボランティアとして気仙沼に向かうことになりました。

そこで目にした光景は、今でも忘れられません。ビルの上に乗ってしまった船や、山沿いまで押し上げられたタンカーなど、津波の影響は計り知れないものでした。多くの方が亡くなったことも心に深く刻まれています。

この経験を通じて、私は「明日は自分にも何が起こるかわからない」と強く感じました。東日本大震災は私の人生を大きく変えました。私ができることを精一杯やろう、動物のために獣医師としてできることをしようと決意しました。

カンボジアでの動物病院設立や、これからの草津での活動も、あの震災が私に新たな道を示してくれた出来事です。