全てを診る
長年当院に通っていただいていたわんちゃんが、お亡くなりになったとのことで、飼い主様が一人でいらっしゃいました。
そのわんちゃんは体が大きく、とても優しい子でした。急に立てなくなり、近くの病院へ行かれたとのことです。
数ヶ月前に皮膚の手術を受けたことが影響したのかと思いましたが、肝臓に小さな嚢胞があり、それが破裂したのではないかとのことでした。
体の大きな子で、皮膚を診ていた私にとって、肝臓の嚢胞を確認できなかったことは非常に悲しく、全てを診てあげられなかったことに悔いが残ります。血液検査では肝臓の数値に問題がなかったため、まさかこのような事態になるとは思いもしませんでした。
ご家族皆さんが大切に育てていらっしゃった姿が、今でも微笑ましく思い出されます。
もし全身をしっかりエコー検査していたら、早期に見つけられたのではないか、事前にわかっていれば何かできたのではないかと、様々な思いが頭をよぎります。事前にわかっていても、何もできない可能性もありますが、それでも飼い主様にお伝えできていれば、心の準備ができたかもしれません。私が見つけられていれば、ご家族の急な悲しみも少しは和らいでいたかもしれません。
当院にご連絡いただくための決心も、きっと勇気が必要だったと思います。そして、私が全てを診ることができず、悲しい思いをされた飼い主様もいらっしゃることを心からお察しします。
二次医療では発生した症状を集中して検査し診ることができますが、私たち一次診療では健康に見える子の「全てを診る」という広範囲なケアとチェック、そして最期まで安心をお届けするための心のケアも大切にしたいと考えています。
自分の力不足を痛感し、ご家族の方々に心より哀悼の意を表します。